8.金曜日の出来事
96年11月、「海にいきたい」の表紙を描いてもらお
うと、中島は油絵科の安田を訪ねた。その時、安田と同じ
アトリエにいた中川敬子が興味を示し、豆絵本を合作する
ことになった。
そもそも、この時まで、中川と中島は会話をしたことす
らほとんどなかったのだが、ぶっつけ本番で始めた合作は
何の滞りもなく進行した。使用したのはいつもMARUM
ANのF6判スケッチブックと、ボールペン。
このお話には2人の人物が登場するが、これは中川と中
島が、1ページごとに分担して描いた。別にそういうふう
に描こうと相談して始めたわけではなく、ただ描いていく
うちに、自然にそうなったのである。
第6作「きんようび」は、ある晴れた金曜日に、さくさ
くと完成した。