2-9
4.黒いクレヨン
中島は「すいようび」の増冊に取りかかった。
どうにか形にした、ひどくいびつな本たちを、周りの 人間に配ってみる。
96年、7月12日、「すいようび」に興味を示した 平佳史が、自分もやってみたいと言い出した。
中島が、愛用のMARUMANのF6判スケッチブックに、 「すいようび」と同様に16コマの線を引いて、平に手 渡す。この時、深い考えもないままに中島は、なんとな く升目の大きさを6cm×6cmの、正方形に描いたの だが、収まりが良いので以後、一秒書房の豆絵本の標準 サイズとして定着した。
平は、愛用のぺんてるクレヨンを取り出し、前半の8 場面を描く。続けて中島が残りの8場面を埋める。
第2作「くろねこ」は、ずいぶんとあっけなく完成し てしまった。
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<↑「くろねこ」表紙原画。裏表紙の修正部分は、 平が“¥100”と書いたのを、 中島が抹消したものであるということを知る人は少ない。>
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