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13.こたつの日まで
「みらいじいちゃんの縁側日記」略して「みらじい」は、 もともとは田中モモコが大学の卒業製作展に出品した手製 の絵本である。ユーモラスなイラストと脱力的な内容に一 目惚れして、中島は田中に豆本化を提案した。田中は快諾 し、98年3月25日、中島は田中から原画を預かった。
世界に1冊きりの“オリジナルバージョン”は、一辺が 20cmほどの、正方形の表紙をしている。豆本化するに あたって、当然サイズは小さくなるが、その他の点では、 可能な限り“オリジナルバージョン”のデザインを踏襲す る方針で製本にとりかかった。
郵便で打ち合わせつつ、豆本版「みらじい」のデザイン を決めた。つやのあるカラーコピーでの印刷、紙の種類な どは、“オリジナルバージョン”にほぼ忠実。変更点は、 サイズが小さくなったことの他に、中綴じを採用したこと (“オリジナルバージョン”は胡蝶綴じ)、裏表紙に「一 秒書房」のロゴが入ったこと、である。
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さらに作者はこの作品のために、“ママカ”なる不思議 な響きの名義を用いた。なぜ?
さて、製本は9月20日に完成したものの、このおはな しには季節感があるので、冬に読んでもらうべきだと思わ れた。そこで本の完成はしばらく秘匿され、寒さの増した 12月初旬、晴れて配本が始まった。
第11作、「みらいじいちゃんの縁側日記」はこのよう に、良き理解者と貴重な原稿に恵まれて出版できた、初の “ゲスト”依頼本となった。
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