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20.天から降った話
 小学3年生より4年間、近所の児童画教室に通い、持ち
前のデッサン力、色彩センス、豊かな発想力にさらに磨き
をかけていたみほちゃんこと松田満帆は、2002年3月、
小学校卒業目前のころ、教室の本棚の片隅にひっそりと置
かれていた『一秒書房の豆絵本』に出会う。
 すでに教室で創作絵本の制作を経験していた彼女は、豆
絵本の小ささと、数々の作品世界の魅力の中でも特に“文
章の無い絵本”の虜となり、自ら画用紙を6センチ四方に
切り、ストーリーを思い巡らせながら制作に取り組み始め
た。

 とあるきっかけで、その途中段階の絵本が中島陽一の目
にとまる。常々新しい豆本出版を目論んでいる中島は、み
ほちゃんの絵の初々しい魅力と先を読みたくなる見事な構
成に心を奪われ、この絵を見せてくれた児童画教室の主宰
者に、一秒書房からの出版を打診してみた。すると、『み
ほちゃん本人は、この話をしたら大喜びで了解してくれま
した』という返事。幾度か簡単な打ち合わせをはさみつつ、
のんびりした歩みで、一年がかりの出版となった。
 
 
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 さて、絵本の製作当時はまだ小学6年生だった才媛みほ
ちゃんとは、一体どんな人なのでしょうか。彼女をよく知
る人の言葉を引用すれば…
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 【将来は日本女子バスケ界を背負って立つバスケットボ
ールプレイヤーか、それとも日本ア−ト界を担う世界に羽
ばたくアーティストか、はたまた『HまわりAとりえ』の
後継者か・・・後者のようなちっぽけな将来設計は抱いて
いないと思うが(『HまわりAとりえ』主宰者談)・・・
夢も膨らむ花の現役女子中学生なのだ。】
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…とのこと。

 この幸運な出版は、直接会うことのできないみほちゃん
と一秒書房の間に立ってやりとりを仲介してくれたこの人
の存在なくしては、決して実現しなかったのは確かだ。

 第17作「空から来た人形」は、絵本好きの少女と、温
かく見守る先生、物好きな一秒書房という三者の連係プレ
ーの成果として2003年、7月に出版された。
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