2-5
2.水曜日の出来事
1996年7月のとある水曜日、 銅版画の集中講議の真 っ最中。
「豆絵本作ろうぜー。」 突如言い出すのは、やけっぱちの石田祐佳。 愛用の変型 A4判クロッキーブックを取り出して、1ページ破りとり、 神経を使って銅版に線を刻み込む作業に没頭しているそば の者に放りなげる。
「16ページ分の絵ー描いてー。そしたらあたしが本に したげるからさー。」
紙切れを受け取ったのは中島陽一。
渡された紙は折り畳まれて、折り目がついている。
紙切れの上には6cm×5cm強の、長方形のマス目が 16個。
そのうち前半の8つのマス目が埋められ、紙切れとボー ルペンがまわされる。
アニー岡本が、残りの8場面を埋め、即興のおはなしは 完結した。
その粗雑な16コママンガのような紙切れを、石田祐佳 がゼロックスでコピーした。ついでに買ってきたケントボ
|
|
2-6
ードとペーパーセメントで、加工するのに要した時間はわ ずかに15分。
初めての小さな絵本「すいようび」が完成した。
<↑問題の原画。あまりのてきとうさ加減には、
いつ見てもショックを禁じ得ない。>
|