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2.水曜日の出来事
 1996年7月のとある水曜日、 銅版画の集中講議の真
っ最中。  「豆絵本作ろうぜー。」
突如言い出すのは、やけっぱちの石田祐佳。 愛用の変型
A4判クロッキーブックを取り出して、1ページ破りとり、
神経を使って銅版に線を刻み込む作業に没頭しているそば
の者に放りなげる。  「16ページ分の絵ー描いてー。そしたらあたしが本に
したげるからさー。」
 紙切れを受け取ったのは中島陽一。  渡された紙は折り畳まれて、折り目がついている。 紙切れの上には6cm×5cm強の、長方形のマス目が
16個。  そのうち前半の8つのマス目が埋められ、紙切れとボー
ルペンがまわされる。  アニー岡本が、残りの8場面を埋め、即興のおはなしは
完結した。  その粗雑な16コママンガのような紙切れを、石田祐佳
がゼロックスでコピーした。ついでに買ってきたケントボ
 
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ードとペーパーセメントで、加工するのに要した時間はわ
ずかに15分。  初めての小さな絵本「すいようび」が完成した。

<↑問題の原画。あまりのてきとうさ加減には、
いつ見てもショックを禁じ得ない。>
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